2012年1月23日月曜日

参加者のレポート


「形状的性質の理」

本文は今後より一層の密度、深度へと向かう事を期して剣体研究会での練習で感じた事をまとめたものです。

剣は独立した物体として高い安定性と働きを持っています。
先端に向かって細くなる形状は突きの性質となり、先端、刃、反りによって生じる指向性は斬の性質となります。
また反りから刃に向かっての両面の弧は斜面の性質となります。
これらの性質を活かして運用する事は、剣を扱う上での要点だと感じます。

手を寄せて剣を持つ(双手帯)場合に力点を持ち手に置いたり、身体に偏りが出来ると剣を持っている事も覚束きません。
そのため剣を持つ際には抱きかかえる様に肘を含んで持ち、身体は上下に安定する必要があります。
こうすると足、身、腕の各部に斜面が構成されます。
この多面的な斜面は剣の突、斬、斜面との相性の良さがあり、有機的に結合すると上下前後左右の働きを内包した状態となります。
そして多面は剣を斜に構える事でより多元的で安定した性質を発揮します。

しかしこの性質もむやみに剣を振って身から離すと容易に崩れてしまいます。
そのため歩を進める事は重要な要素となります。
双手帯での前進は多面的な状態のまま空間を移動する事となり、運動はより有機的に結合となります。

こうした形状的性質の理を体感し、その働きをより密に精査していく事は研究を進める上での基本的かつ根幹的な要件であるように感じます。

内田秀樹
(内田氏は剣体研究会研究当初から研究会の運動観、技法を学び研究されています。)